歯周病の症状

こんなことに思いあたりませんか?

35歳〜44歳の人ではおよそ81%、45歳〜54歳では85%の人が歯周病にかかっています。
つまり、ほとんどの大人が程度の差はあっても、歯周病にかかっているといっても過言ではありません。

歯を磨くときやリンゴを食べたとき、歯ぐきから出血することがある。
口臭があり、親しい人から口が臭いと言われたことがある。
歯ぐきからウミが出ることがある。
朝起きたとき、口が粘ついたり、妙な味がする。
歯ぐきが赤くはれたり、痛むことがある。
冷たい水を飲むと、虫歯もないのに歯や歯ぐきがしみて痛い。
歯がグラグラと動く感じがする。
歯ぐきがむずがゆい感じがする。
歯と歯の間に、よく食べ物がはさまる。
鏡で見ると、前よりも歯が長くなったように感じる。

歯周病は、歯を失う大きな原因のひとつです

歯を失う原因の第1位はむし歯ですが、歯周病もむし歯の次に歯を失う大きな原因になっています。特に40歳あたりからは、歯周病の比率が高くなっています。

歯周病は、歯を支える周りの組織に起こる病気です

歯の周りには、歯を支える色々な組織(歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨)があります。歯周病は、これらの組織が細菌に感染して起こります。また、歯の周りだけでなく全身的な要因・病気も原因となります。たとえば糖尿病の患者には、かなり重度の歯周病患者が多いのですが、糖尿病が悪化すると、歯周病も悪化するという関係が見られます。

歯周病の進行状況

  • 健康な歯肉には、ステップリング (みかんの皮の表面の小さなくぼみのような状態)がみられます。写真右:サンゴ色、またはピンク色でひきしまって弾力性のある健康歯肉

  • 歯のつけ根の表面に、プラークがたまり、歯の周囲や歯と歯の間の歯肉に炎症が起こります。ブラッシングした時や、固いものを食べると、出血することがあります。これくらいではまだ痛みもありません。 (この段階を「歯肉炎」といいます)写真右:歯肉炎

  • プラークが歯石(しせき)になり、歯石は大きくなって、歯根膜が溶け歯肉溝のなかにも広がってきます。 歯肉溝はだんだん深くなり、歯肉の弾力性がなくなって、歯周ポケットと呼ばれる空間ができます。炎症も進み、歯槽骨の破壊も始まります。写真右:歯周炎

  • 症状が進むと歯周ポケットがさらに深くなり、歯槽骨がほとんど破壊され、歯がぐらつき歯の根も見えてきます。出血や口臭も強くなり常時ウミが出るようになります。その状態を一般に歯槽膿漏(しそうのうろう) といいます。写真右:重度歯周炎

  • ねばねばした細菌の集まりがブラーク:歯垢(しこう)です。その細菌が少しずつ死滅して、それに唾液成分の無機質が沈着し、 石灰化して歯石(しせき)になります。写真右:歯石写真

歯周病は生活習慣病

歯周病は、今まで徐々に進行すると言われていました。
最近では、急に悪くなる時期(勃発期)と静止期を繰り返しながら進行していくことがわかっています。そこで勃発期に感じる変化に十分注意し、早めに歯科医に相談し、治療を受けることが大切です。

歯周病の直接の原因は、プラークがたまることからはじまります。プラークは、食べ物のなかの糖分と誰の口のなかにもある細菌によってでき、プラークの90%近くは細菌です。

また歯周病が進行してできる歯周ポケットの内側には、1mg(湿重量)あたり400種、1億個以上の細菌がいて体との間で、免疫応答といわれる戦いが繰り広げられます。

抵抗力が弱まれば、全身にいろいろな症状があらわれてきます。
ですから歯周病を予防し、進行を防ぐには、まずプラークをためず、歯周病を進行させないことが大切です。また生活習慣を改めることも、大きなポイントになります。

歯周病を防ぐ、プラークコントロール

歯周病の予防と治療には、ブラッシシグ(歯磨き)で口腔内を清潔に保つことが一番です。

歯周病やむし歯の原因は、プラークです。このプラークは、ていねいなブラッシングによって、大部分取り除くことができます。つまり、適切なブラッシングをつづけることで、歯周病を予防することができるのです。それだけではありません。程度の軽い歯周病であれば、ブラッシングで治してしまうことも可能です。

歯周病を悪化させない生活習慣の改善

プラッシングが歯周病予病の第一条件ですが、それ以外にも、気をつけてほしいことがたくさんあります。

糖分(砂糖)をとり過ぎない
大人だけでなく、子どもにも歯周病が多く見られます。
子どもは、特に砂糖が多く含まれているお菓子や清涼飲料水などをとり過ぎる傾向があります。これは、むし歯にもよくありません。
柔らかいものばかり食べない
柔らかい食べ物は力スが歯につき、プラークが形成されやすくなります。歯ごたえのあるものや、食物繊維の多く含まれたものをしっかりかんで食べましょう。
両側の歯でかむ
片側の歯ばかりでかんでいると、かんでいる側の歯は汚れが自然に落ちますが、あまりかまない側の歯には、プラークがたまりやすくなります。
意識して両側の歯でかみましょう。
たばこは吸わない
たばこを吸う人は、吸わない人に比べて、歯周病にかかりやすくなっています。これはニコチンなどの作用によって、血液の流れが悪くなり、細菌と戦う働きが弱くなるからです。
つまようじの使い方に注意する
つまようじは、歯と歯の間につまった食べ物の力スをとるのに効果的ですが、歯ぐきを傷つけたり、かえって力スを押し込んでしまうこともありますので注意しましょう。
つまようじ以外にも、歯間ブラシやデンタルフロスなどを効果的に使いましょう。
口で呼吸をしない
口で呼吸をすると、口のなかが乾燥しやすくなります。すると細菌に感染し、炎症を起こしやすくなります。
耳鼻咽喉の病気のある人は、治療の必要がありますが、口呼吸のくせのある人は、そのくせを直すように心がけましょう。
ストレスをためない
ストレスは、歯ぎしりのもとになり、歯ぎしりは歯周病を悪化させます。また反対に、歯周病が歯ぎしりのもとにもなります。
自分では気がつかない歯ぎしりにも、家族は注意をはらいましょう。

歯周病予防・治療の実際

ブラッシングの指導
歯科治療の最も基本になるのが、正しいブラッシングの方法を患者さんに知ってもらうことです。ブラッシングというのは、歯を磨くだけではありません。歯ぐきをマッサージすることも大切です。
歯科医師による診断と治療方針により、 歯科衛生士がブラッシングを指導します。
指導にもとづき、自分で実際にブラッシングをして、その方法をマスターします。
歯ブラシの補肋として、歯間ブラシやデンタルフロスなども使います。
スケーリング(歯石除去)をしてもらう
自分で歯石を取り除くことはできません。
そこで、定期的に歯石を取り除きます(スケーリング)。また、歯の表面をなめらかにしてプラークをつきにくくします(ルートプレーニング)。
歯周病が進んでしまったとき
抗生物質を歯周ポケットに入れて、殺菌する方法や、さらに症状が進んでしまったときには、手術が必要な場合もあります。
新しい手術では、歯を抜かずに、歯周の組織を再生させる方法もあります。

自分で行う歯周病予防

歯周病予防に最も大切なことは、 自分自身で行う継続的な努力です。

ていねいなブラッシングは歯周病予防の基本です。
そして歯周病にかかり、歯科医師に治療を受けたあとでも、ブラッシングを行えば、再発を防ぐことができます。
最も大切なのは、何よりも『自分で歯周病を防ぐ』という意志であって、歯科医は、患者さんのお手伝いができるだけなのです。

早期発見、早期治療に必要なリコール
治療をしたあと、三ヶ月か半年などのー定期間が経ってから、再び診察することをリコールといいます。
リコールは、症状が改善されているのか、また新たな病気にかかっていないかを確認するために、ぜひ必要です。
リコールのときは、病状の確認ばかりでなく、プラッシングの大切さを改めて認識したり、プラークや歯石がたまっている場合には、スケーリング/ルートプレーニングも行います。長期的に見ると、リコールを行っている人と行わない人では、歯を失う率に大きな差が出てきます。
かかりつけの歯科医師を持ちましょう
自分の歯の状況を詳しく把握してくれる歯科医は、心強い味方です。
自覚症状のあるときには何でも相談できる歯科医、また定期的にチェックを受けられる歯科医を持てば、歯周病やむし歯を未然に防ぐことができます。
歯科治療で注意しなければならないのは、いったん治療を始めたら、症状が改善したからといって、途中で中断しないことです。結果的にもっと悪化させてしまう場合もあります。歯科医を信頼し、指示を守ることが大切です。

8020運動をご存知ですか

歯の健康を守り、自分の歯でモノを食べられることは、高齢化社会を豊かに過ごすための重要な要素になります。
ところが、50歳前後から歯が急速に抜け始め、70歳では平均すると17本の歯を失い、さらに80歳では残ってる歯が平均5本となってしまい、大部分の人が入れ歯を使うようになります。

大人の歯は、親知らずを除いて28本あります。歯は自然に抜け落ちることはありません。
歯周病やむし歯が原因になりますが、特に歯周病は中高年から歯を失う原因になっていることは、すでに述べました。

こうした状況を憂慮した厚生省は「成人歯科保健対策検討会」を設置しました。
そこで1989年に決めた目標が「8020」、つまり「80歳で20本の歯を残そう」という運動です。
20本の自分の歯が残っていれば、高齢でもよくかんで食べることができます。
普通のメニューでおいしく食べられれば、栄養も十分にとれ、 身体の健康を維持することができるのです。
この目標を達成するためには、大人よりもむしろ小児の段階からのむし歯予防が最も重要となります。歯みがきと合わせたフッ素の利用(フッ素塗市・フッ素洗口・フッ素入り歯磨き剤・水道水のフッ素化など)をWHOやFDl(国際歯科連盟)も推進しており、丈夫な歯をつくるためには効果的です。

「8020」運動に向けて行政機関や歯科医師会、歯科衛生士会はもちろんのこと、学校保健や産業保健でも、歯の衛生についての教育を行うなど、協力体制をとっています。
歯の健康を守り「8020」を実現するのは、本人の努力と公衆衛生対策の協同作業といえるでしよう。

歯の健康シリーズ 歯周病より

どのくらいのべースで歯石を取りに歯医者さんに行けばいいんでしょうか? また、全部の歯の歯石を取り除くにはどのくらい時間が必要ですか?

まず、歯石を取り除くには、1回の処置に30分~1時間くらい必要とし、 歯石除去のぺースは概ね1~6カ月間隔です。
これらを勘案すると、すべての歯石を取り除くのに1~6回の通院が必要になってきます。
ただし前述した時間・回数は、歯周病の進行度、歯石沈着の程度、患者さん自身のブラッシングの程度、過去における歯石除去の経験などにより変わってきます。
歯周炎まで至らず、歯石沈着が主で歯肉炎を生じているとき(主に縁上歯石)は、1回の処置時間も短く、主に超音波除石器で取り除くことが可能であり、その後の歯面の研磨を含め1~2回の処置回数で終了することができます。

初期、中等度(前半)程度の歯周炎では、目で見える歯石(歯肉縁上歯石) 以外に、歯肉下部の根面の上方にも歯石(歯肉縁下歯石)が付着していることが 多いため、1回の処置時間もやや長くなり、主に縁上歯石を超音波除石器で取った後、手用のキュレットという特殊なインスツルメントを用いて縁下歯石を除去し、根面を滑沢に研磨して仕上げます。回数的には3~4回かかります。
 
中等度(後半)、重度の歯周炎では、縁下歯石がかなり根面の下部に及んでいることが多く、主にキュレットを用いますが、1回当たりの時間も多めにかかり、5~6回の処置回数が必要になります。また、この歯周炎では、縁下がかなり深いため、術者も歯肉内というブラインド操作のため、取り残しも多くなり、繰り返し行うか、歯周外科といって外科的に歯肉を切開し、根面を明視下で歯石を取る方法もあります。
 
歯石(歯垢=プラークも含む)の除去ぺースは、重度1ヵ月・中等度3ヵ月・初期6ヵ月くらいを目安に考えて下さい。
6ヵ月になったら1回は自分の誕生日前後で、もう1回は半年後と考えてかかりつけの先生に口腔内全部の定期検診をして頂き、歯石除去もして頂くと、いつまでも健康で良好な口腔内を維持することが可能でしょう。

解説 いさはい歯科医院 院長 砂盃 清

「歯周病は体中を蝕む」 発売・編著・発行 ライフウエルより